ある女性歌手の初CDを作るというのでハーモニカを吹いてくれという依頼がきました。そこでスタジオへ。入ってみるとすでにバッキングは作ってあって、男性歌手の方が録音室の中でバッキングを元に歌っています。助っ人歌手のようです。作曲者があれこれ注文を付け、だんだんよくなっていきます。MIDIのハーモニカも入っているので、楽譜とにらめっこしながら入り方を考えつつ待機。C#m調の曲。#4個。きつい調ですが速くはないので大丈夫。デジタル録音時代なんですねー。悪いところはやり直しつつ、よくなると前の部分にそこだけつなぎ替えて仕上げていきます。さて、歌手はできあがったので、いよいよかと思ったところで夕食の注文です。
注文を終えて待機している間に、ハーモニカのピッチはどうしたらよいか聞くとA=440でバッキングを作ってあるとのこと。そんなこともあろうかと色んなピッチのものを用意していったのですが、Hering 6164が該当するので、バッキングに合わせて吹いてみました。さすがミュージシャン達です、それでいいそれでいいと一発で決まりでした。
注文した辛子ネギ・ラーメンを食べた後、いよいよ録音開始。MIDIのハーモニカの分はミュートしてもらい、流して代わりにハーモニカを吹いてみました。いよいよ、先ほど歌手の方が入っていたスタジオの録音室に一人で入り、イヤフォンを通して会話しながら、ハーモニカが入る4小節ほど前からバッキングを流してもらいます。ちょっと楽譜に忠実すぎるねなんていわれて改良して3度目ぐらいで「OK、次のパート行きます」ってんでどんどん4箇所を細切れに録音していきます。あっさりと「ご苦労さん。」の声で録音部屋を出ました。
はい、次の曲。これはCDメインの女性歌手の歌です。Gm調だ。b2個。これは一度も通しで聞いたことがないので、流してもらい、歌詞のこの部分でこれが入るって言う指示を頭に詰め込んで、また録音室へ。で、全体を把握することないまま、3箇所程の部分を、数小節前から聞いて吹くということを繰り返して、take 3位ずつでOKが出て終了。Take Fiveの曲名が頭に浮かびます。
そこで、じゃあ通しで聞いてみますかというので、初めて曲全体を聞きました。へー、こんな曲なのって感じです。ハーモニカの部分は実にHeringの音色です。Hohnerとは大分違いますね。メーカーの差は大きい。さて、指揮者がいないので最後のrit.の部分がちょっと伴奏とずれています。デジタルだねえ、「あ、直りますよ。」と編集者がハーモニカのその部分だけ少しずつずらせていくと、あーら不思議、ちゃんと伴奏に合ってしまいました。「じゃごくろーさーん」というので初体験は終わりました。
生演奏とは何という違い!
作曲者曰く「かくて演奏者は堕落していくのであった、が持論なんです。」(爆)
CDのジャケット案も届いていて、まだ録音もしていないのにハーモニカ奏者の名前がちゃんと入っている。
場所が遠かったので、帰宅は午前様になってしまいました。