買ってしまうと安心してしまって眺めたり練習したりしていないのですけど、整理しながら中身を見てみました。
ホーナー社で昔出版された古い楽譜集です。
まず、色んな事はタイトルなど含めてドイツ語、フランス語、英語、スペイン語の4カ国語で書いてあります。国際対応なんですね。英語があるのはありがたい。(おや、作曲者の名前まで言語によってつづりが違うんですね、驚き。)
ピアノ伴奏つきのクロマチック・ハーモニカ用の曲集になっていますが、大方の曲集と同じく、伴奏付きのスコアに加えて、メロディ・パート譜が別に付いています。
さらに
クロマチック・ハーモニカ用のパート譜も付いているんです。
これがどういうものかというと(クリックすると大きくなります)
メロディ・パート譜
クロマチック・ハーモニカ用パート譜
つまり、調子記号を無くし、どの音でスライド・ボタンを押すかというのをダブル・シャープ記号で表してあるのです。最近出版されたような楽譜ではこのような配慮は見たことがありません。
クロマチック・ハーモニカはボタンを押せば半音高い#音が出るので、bをどう処理するかというのが厄介な問題で、色々な教室で色々な教え方がされているのですが、大別すると
1.bを#で書き換える
2.bを#で頭の中で読み換える
3.音符に穴番号を振る
4.音符を頭の中で穴番号で読み換える
5.bをそのまま受け入れて吹き吸いもそのように処理する
6.探り吹きで吹いてしまう
このクロマチック・ハーモニカ用パート譜は1.の方法ですね。記号としてダブル・シャープ記号を使っているわけです。これは演奏は確かにこなせますが、調子記号の持つ音楽理論を理解しにくいという欠点があると思います。
私のやりかたは2.です。頭の中では1.と同じように処理しているのですが、楽譜を書き換えるわけではありませんので、音楽理論の理解の妨げにはなりません。初見も楽です。教室でもそのように指導していて、鉛筆で1.のように書き換えることは禁止しています。
3.、4.は、別の教室でよく教えられているようなのですが、周りにそのような知人がいないので、実際演奏中に頭の中がどう動いているのか聞く機会を持ちません。ジャズ、クラシックどちらでもそのような教室があるようです。一度お酒でも飲みながらゆっくり語り合ってみたいものだと思っていますが。
5.は若い人、他の楽器もこなす人、ジャズ関係の人に多いようです。多分、ベストの方法だと思います。複音ハーモニカから始めた私は、もう若くもないですし、この方法に移ることはできません。完全にこなせればよいのですが、教室ではこれで始めたけれど、bが4個、5個のとき混乱してしまうような場合には、2.の方法を勧めています。
6.の人は、ハ長調やイ短調のときはいいのですが、複雑な調子記号に対応していくのは大変だと思います。初期のラリー・アドラーさんは楽譜が読めなかったので多分こうしていたのだと思いますが、限界を感じられたのか、後に楽譜を勉強したということです。ジャズのJens Bungeさんもあまり楽譜を読むことはしないらしいですが、他の楽器の人とのコミュニケーションには楽譜の知識は役に立つと語っておられました。